『万華鏡の視覚:ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより』@森美

ウィーンのティッセン・ボルネミッサ現代美術財団から、
インスタレーションものを中心に構成した本展。視聴覚、触覚まで含むのがおもしろい。
ティッセン・ボルネミッサ家は個人としては世界二位のコレクション数を誇る
ということで、マドリッドにもティッセン・ボルネミッサ美術館を持っている。
創設者のフランチェスカ・フォン・ハプスブルグさんはティッセン・ボルネミッサ家の
四代目で夫がハプスブルグ家の人なんだそう。と豆知識。

カールステン・フラー "Y"

オラファー・エリアソン "投影される君の歓迎"

マシュー・リッチー "家庭農園"


ロス・カルピンテロス "凍結した惨事の習作"

ジョン・M・アームレーダー "グローバル・ドーム XII"
この他に、以前SCAIでみたイェッペン・ハイムの球体"Reflecting Object"が
ジム・ランビーの作品(原美でのようなストライプで"ソボップ・ゴールド")
の上で回っていたり、消音材で包まれた暗闇で古い机の表面に触れると、
まるでこびりついた机の記憶のように、様々な声がどこからともなく聴こえる
ジャネット・カーディフの"触ること"*1など、見た目の派手さ以上に、
ゆっくりと知覚を沁み渡らせる楽しみのある作品も多い。

さて、レセプション会場で鈴木氏とシュウゴアーツ周吾さんに合流して
都内某所にての"さわひらき”展のオープニングへ。

作品も空間にあっていたけれど、建物の中庭を飾る金色の石垣のような壁が
真ん中にのぼった三日月に輝き美しかった。
のち、少し歩いて三田の定食屋のような居酒屋でごはん。

*1:この作品購入が、財団設立のきっかけになったと言う。アーティストからの提言だったらしい

東京アートマーケット

アートフェア東京プレビューに行く。この週は101とか
週末に白金とか色々なアート関連イベントが揃う。

昨年は旅立っていていけませんでした。
VIPという受付があるんですが、プレビューにVIPもなにも……と思ってたら
前のおばちゃまが振り返ったらデヴィ夫人でした。すみません。

取材を受けるSCAI、この斜向かいに小山登美夫ギャラリーやミヅマさんが並ぶ
かなり明暗が分かれたという売り上げ、しかしテレビカメラがけっこう入っている。
「この不況下に」と言う取り上げられ方なのか
「クールジャパン(笑)」な取り上げ方なのか……。
ともかくシュウゴアーツ周吾さんが一瞬NHKのニュースで映っていた。
やり手アートディーラー(笑)として。
のち隣のTOKIAビルの会場へ。

小さな会場が大盛況、すれ違うと作品触りそうで大変。

マジカルアートルームの展示。

ART IT編集部も出展しております。

ナンヅカアンダーグラウンド
この日は日仏だとかkaikaikikiだとか色々あったけれど、
広尾まで行ったが一緒に行こうと言ってた人と連絡が途切れ
結局アートフェアのみで帰宅。

電子音楽としてのホタルノヒカリ

池田亮司展 +/−[the infinite between 0 and 1]@都現美
雨の中、終了間際に向かう。途中抜けじゃなく足を運んでるので
最近ずっと終了間際に滑り込んでるのです、昼も。

年末にパリで行われた展示の巡回。真っ白い光の壁ではないんです。ピクセル粒は数字データなんです(下参照)


上記の拡大。この数字の海が壁一面に輝く。

美しいピクセルデータ集合、そして音響というかサイン波。知覚の解像度はどこまで拡大が可能か。

地下には打って変わって真っ白な部屋(靴も脱いであがる)が
展開され、そこには真っ黒な兵器のようなスピーカー群が向かい合い
そこから照射されるサイン波の中を進む。
残念ながらそこで終了(涙)で、館内に突如『蛍の光』が流れ、
スタッフのみなさんは、まだいいですよー、といってくれましたが
ええと、"蛍の光 Ryoji Ikeda mix" というか♪ほーたーるのピキーーー
とか、♪ひーかーりガキューーー とかなるんでなんかこの
素敵な真っ白空間での状況がおもしろくなり過ぎて笑いが漏れて
仕方ないので、あがりました。すみません早く来るようにしたいです。
でも貴重なもの聴けました、多分。
タクシーで東銀座まで戻り、歌舞伎座のヴェトナム料理屋に入り軽く夕食。

上野、銀座で逢いましょう

■国宝 阿修羅展@東京国立博物館


東京でお会いするのは初めてですのう
昼のプレスプレビューギリギリに、平成館へ。
通用門で弊社社員とすれ違い、入り口ではブルータス編集部の
チーム・ザ・仏像特集のみなさまに遭遇する、みんな出てきたところ、
ということはまただ、時間がないー。法要が始まるとかで
お坊さんに後ろをせき立てられるように急ぎ巡回。

いきなし入り口奥に映像で興福寺がどーん、とある。

仏像以外にも伝来の宝物が揃う。

八部衆十大弟子なども揃うが何ぶん後ろから係員と坊さまが追ってきて
撮影するもきれいなものはあまり残ってない。しかし素晴らしい、配置もいい。

琳派展のときのブリックベア風神雷神よりはあれか。海洋堂謹製・阿修羅フィギュア
お一人さま2点まで。

■"recollections" フィリップ・ワイズベッカー@G8
夜、銀座G8にすべりこみ。8時前に和光前を急いでいたら
8時半までと判明、近隣同業者に「まだ間に合うみたい!」
と返したところ一瞬、抜け出してきてくれて合流。

外看板。




展示されてるほとんどが購入できる、と聞いて同行者興奮気味。
特にノートが良かったなぁ。建築シリーズも。
recollection回想/re-collection再収集、タイトルもいいですね。
ポスター、フライヤーなどは葛西薫さん。
ワイズベッカー氏もスピーチで褒めたたえていたけれど
やっぱり上手だなぁ、こういうの。と幾枚か持ち帰る。
二人とも、少年の好奇心が美しく織り込まれている
そんな瞳を持った作品たちだなと思う。Boy's Life!

六本木アートナイト

六本木アートナイトに遅ればせながらも駆けつける。
六本木ヒルズ国立新美術館東京ミッドタウン、東京都、東京都歴史文化財団など
六本木アートトライアングル+αなのかな、による一夜限りのイベント。
まずはヒルズアリーナにて「ジャイアント・トらやんの大冒険」
by ヤノベケンジさん。なかなか動かないんだけれど、
音楽だったか子どもの声だったか、何かしらに反応していてそれが
溜ると動き始めるらしい。

水に映る不動のトラヤン。全長7m

火を噴く、これだけだとこわいロボなんですけどね。

動いてるの見ると何となく許せませんか。

藤原隆洋"into the blue" 時々ぐるんぐるん回って、それを下から見るとすごいらしい(止まってた)

上の階では開発好明"森の中の発泡庭" お茶道具一式入ってました。

で、なんかインタラクティブというか。。歩くと裸の男たちが足跡を拭いてくれる床映像。

毛利庭園は中谷芙二子 "霧の庭 #47662"、咲きかけの桜と相まって幻想的。
そこから新美術館へ向かうが、ちょうど宮永さんのトークが終わったところで
見知った顔がゾロゾロと帰り途中。アーティストファイルは無料開放だったので
もう一回見る事にする。
人はかなり歩き回っていて、この時間に
アートスペースを解放するのもいいんじゃないかなと。偶然きた人も多いと思うし。

六本木各所に設けられていたと言うコンテナ画廊? アーティストファイルからも3組。
帰りに、夕食どころが軒並みしまっておりヒルズ脇の焼肉屋にいく。
飲みきれなかったマッコリを一瓶、持ち帰らされる。

透過光と反射光と

一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子@サントリー美術館
六本木にて、またもや時間が間に合わずギリギリ走るように見る。


薄く軽やかに華々しい紋様に、質感を帯びた色味が見事。

個人的にはこの筆洗い? の器が形状、色ともに一番好きかと思う。

雛道具一式を薩摩切子で! 贅沢。一説には篤姫所用の品とも。

薩摩切子はいつか本格的に欲しいと思っているもので、というのも
実家に幼い頃から一対の脚付きグラスがあり、それがとても美しかった。
お酒用だったので子どもが使うことはなくいつもガラス越しに見るだけで
いつかこんなきれいなグラスで誰かと飲むおいしいお酒に出会いたい、
とどこかでずっと思い続けていた。変な小学生ではありますね。

夜、ベルルッティ新作展示会へ。人が多すぎて店内は撮れず。
デザイナーによる輝石をつかった幸福のツリー?
(七夕みたいに言葉を書いた栞がついていた)。

プレスの秦さんに教えてもらう。
のち、会場で待ち合わせた人と久々にCafe246に行って軽く食べる。*1
Book246を軽く見てまわる。青山一丁目でそれぞれの線にわかれ
こちらは銀座線にて新丸ビル、アネカワ君などのイベントに。


お皿を持った動物?(姉川くん作品)のお皿に
いつの間にか小銭が置かれていっていた。
何故人は池があったり箱があると小銭を投げ入れるのか。
呼び水にもっと大きな硬貨(500円玉とか)置くと効果的ではと提案。
目が見えないので飲んでないのに酔っぱらい。
終電では帰れたはず。

*1:そこでとても楽しい聞き間違いの社名を書いた領収書をだされそうになるが写真もおさえたけど、言えない(笑)。「ほんとうですか!」って店員さん、そんな会社ないです

乃木坂〜銀座〜青山

ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち
L'Enfant dans les collections du Musée du Louvre
昼、ルーヴル展プレビューに向かう。時間が押して追われるように回る。
上野でも開催されているけれど、こういったテーマを決めた企画は、
普段あのルーヴルの巨大な空間に入ってしまうと見落としてしまったり、
逆に人が集まり過ぎて(少女のミイラなんかがそう)見ることがあまり
ないような作品たちに光を当ててくれる。
またいずれ、ルーヴルで再会するときが楽しみだな、と。

ヴェラスケスの王女、といえばマルゲリータ。だけれどもフランスからは
マリーテレーズの見合い用肖像画、これもかなり至近距離で見れて眼福。
額がずいぶんと重厚だった。

レノルズの"マスターヘア"。ポスターにも使われているけれど、女装の男の子。
これは当時の貴族階級などにあった風習で、ある年齢までは少年の方が身体が
弱いので少女として育てるまじないのようなものだそう。
それにしても、自由に自然に描写されたヘア家の長男の可愛らしさ。

ブーシェ "アモールの標的"、
並んでジャン=バティスト=マリー・ピエール(長い)の
"忠誠の勝利"がありましたが、子どもの姿をしたプットーたちが
より輝かしく描かれているこちらが好き。
"忠誠の勝利"も絵は素晴らしいですが、タイトルと逆にこちらは不貞を、
"標的"は射抜いた的を掲げ不必要な愛の矢を焼き尽くしているアモールたち
(真実の愛はひとつでいい)を描いている。単に不貞を表すマスクを持った
ユピテルと思われるプットーが虐げられている図が少し悲しく。

やはり新国立のゆったりとした空間というのは得難いものがあるなぁと思いました。
ゆったりしすぎ昼食もとらず急いで帰社。

夕方、内藤礼さんの個展で会社徒歩圏のギャラリー小柳へ。
"color beginning" ギャラリー小柳

展覧会の名前の通り、色彩の始まりと取ってもいいのだろう。
シリーズは2006年から開始されて今回が初めての公開なのだそう。
とても薄い薄い水彩を何度も塗り重ねて描かれているのだという。
重なり行く限りない透明の中から色が始まる瞬間を捕らえたのだろうか。

インスタレーションで七輪? のようなものの上をか細い糸が揺れていて、
その途中にゆらゆらと揺れながら炎の赤を映し込んでいる小さな液溜りのような
小さな粒が仄かに輝いていた。クモの糸のようにふわふわと儚い作品。

彼女の作品に水はよく出て来るマテリアルだけれど、水流の中薄い布がくるくると回る。

点々と、色とゆらぎと光の、見つめ返してこない逃げてしまうような作品たち。
のちキュリオシティ@ルイヴィトンで表参道へ
■LIGHT-LIGHT In Tokyo at LV Hall by Curiosity@LVホール

これは昨年のミラノサローネ出展作品だったりするのだけれど
こういった空間でやるとまた趣向が全然違う。

実はこの空中に浮かぶ白い球はアンリシャルパンティエ製のメレンゲボール。
食べられます(笑)。光の球の噴水と天井に映し出されたさざ波のような光。
トランジットのフレグランス発表にラスチカス方面に立ち寄る。

"ORTIGIA" はシチリアのブランドだそう、強く心地いい香りに包まれる。
のち、青山たんぼでおひつごはん、昔代々木に住んでいた頃よく行った。
お米がおいしいのね、ともかくここは。
そして帰り際、根津から移転した古本のオヨヨ書林を見て、
というか買って(笑)帰宅。けっこういいのあります。