エイティズ・カミンバック

pesce2004-12-14

 前回のエントリー翌日には代官山にてIDEEプロデュースのバー『Film』がオープンした*1わけですけれど、基本的にゲイ・カルチャーのミラーボール的側面サロン風味のイベントスペースなわけでしてきらびやかなクィーンたちの舞い踊りとまさに夜の蝶、各スタッフ達の夜の顔が怪しく集い、ウツトリさせていただきました。普段カジュアルなプレスの美女Kさんが今宵のドレスコードで珍しく妖艶な夜会服のいでたちを「おかまかとおもった」と言われた事にたいそう心を痛めておりましたが、きっと褒め言葉だと思いますよ、女性より美しいんだもの彼ら。
 と、いうわけで経済不況の今時期における過剰装飾系80'sカルチャー・リターンズは、ここ一年ほどで確かに潮流として感じられるものとなりつつありますが、最近囁かれているプチバブル回帰とかそういう即物的な部分の話とは隔たったところのパンクな文脈であると私は解しております。モードである事、螺旋を描いてSSとAWを繰り返しながらも上昇し時代の天井を突き破る瞬間をあなたは見過ごしているだけかもしれない。繰り返しだなんて、本当は起こるわけもないものなのに。
 昨日はTreesaresospecial移転リ・オープニングイベントの山塚アイ個展にもいけず、その前日はつい駒場などに足を延ばしてしまった上に飯田橋に直行したので、すぐ近所で行なわれていた在本さんの個展オープニング(兼エスクワイア・ラテン特集打ち上げ)も耳にしながらも立ち寄れず、涙をのみながら有り得ないスケジュールの詰め(月曜撮影のスタイリストとモデル、ヘアメイクが金曜時点で未定。しかも月曜昼までクライアントの返事が来ない)などをしていて行けませんでしたが、その全く違う二箇所ですら行った人から聞こえる声からするに同じような空気が微かに感じ取れるものでした。アイちゃんとこでは角田純一氏が「時代が一回転してるね」と呟いたとか。
 現場にどっぷりと浸かる事でともすれば近視眼的にもなりうるものだけれども、それでも私は夜を歩かない、人の目配せを関知しない、悦楽に一見できる賭けに身を投じる事をしない人々を、感覚的には信用していない。もちろん生きるフィールドが全く違う人は別で、同時代的な事象を表現や批評の対象にする人間についてのことだ。なんでも歴史に回収して、その微細で柔らかな繊毛であれ煌めきであれ、生まれいづるものを平板に既視感に整理する事でしか、書く事もできないのか。ま、簡単にいえば楽しめないのは自分のせいなので他人への呪詛に転嫁しない事、って。
Oh, baby baby.こんな素敵なDaysを。
*写真はテッペーちゃんの麗しき後ろ姿。普段はCafe @IDEEにいらっしゃります

*1:グランド・オープンは23日