図書返却

 一ヶ月延滞10冊返しました、区外からの越境貸し2冊含む(非人)。でも越境貸しは時間外ボックス使えないのとか、そういうせいもあるんだぞ。ささやかな慎太郎への反抗です、嘘です怠惰なだけです。『心理学化する社会』は読んでみたら半分はネット上とかどっかでずいぶん昔に読んだものばっかだったので3時間で読めました。というか読書習慣のない人々も想定して書いているんだろうなぁ、ごくろうさま。という感じで全般的にエンタテイメント的でありつつ、「社会における現実の問題の、心理問題への転嫁によるすり替え」を何度もくり返し事例を変え角度を変え警告しておるようです。「よく見ろ」と。一般的には自称メンヘルの人が読むといいと思います。
 システム論と精神分析論の、つまりは相容れないはずの二つの理論を援用して現在の薬理学一辺倒精神医療、マニュアル化やイメージ化によって隠蔽され否認される固有の生を社会に取り戻すこと。このへんは十川先生の本の新刊を読んでいると繋がりがというか友愛の深さがわかります(笑)。なのでもともとこっちの人々のここ数年の発言に目を通している人にはこの本は特に目新しい箇所はない。
 しかし、誰にだって当然のはずだった「人生はそんなイージーじゃないし、不幸なんて誰にでも訪れる。誰も代わりには引き受けちゃくれない」ってことを、社会は神経症的に忘却するようになってもう長い。「傷付いた主体」は全ての手続きをすっ飛ばして被害者になる。降りかかる不幸(日常的なものから非日常的なものまで)を、自分の問題として捉え現実として対応し解決しようとする姿勢は、ひとが一人の人間として生きていくための最低限身につけなくてはいけない作法だと思っているのだが。もちろんどの問題を自分のものとして選択するかも含めて。人生論みたいになっていますが(笑)そうではなくて生活論くらいかな。それは解決法を単に「昔の共同体的人間関係に戻す」とか「一生懸命、自分の頭で考える」とか「ひきこもって、降りる」とか素朴に言っても何の解決にもならんと思います。センチメンタルやメランコリー、その不安感は全て享楽ですらあるということを肝に命じたほうがいいと自分は思っています。