ファンファーレ・チォカリーア

pesce2004-08-29

 すみだトリフォニーまでなんとか駆け付けるもキーラは間に合わず、幕間に到着。せめてもの駆けつけ一杯にシャンパンの列にならぶも打ち合わせ電話が入り、カウンター脇で話す事、数分、開演を告げる声(涙)。無理矢理一杯飲み干して席に向うとニ階席とは言え最前列、プランクトンさんありがとう! 実をいうと彼らについては映画も観ていないし音も今回初めて聴いたのだが、ブラス+太鼓のみで弦楽器のない編成である彼らの音は、比較的聴きなれているフランスやポーランド在住ジプシーミュージックのイメージよりもずっとラテンだった。それについては夜にfanciedに行った際に、ルーマニア女性に惚れた事のある赤さんから彼らルーマニアが、元々名前の通りローマ人が由来だから、ということを教わる。ドブロブニグの街を砲撃から守ったのがローマ時代に作られた城壁であったとの記述をたまたま今日読んでいたのもあって、ああなるほど、と膝を打ったけどロマって言葉を使いながらずっと気付かなかった。だいたい名前の響きからしてそうじゃないか。
 ただ、パンフによると彼らは「ルーマニアモルドバ」の村だという事。あれ、モルドバってルーマニアに吸収され掛りながらもなんとか独立した小国じゃなかったっけ*1、とスタッフに聞くけどわからず。しかし先日、コペンで連れて行かれたモルドバ料理の店は全く東欧的というかジャガイモ文化圏のあれで、モルダヴィア・ワインが供される以外はポーランド料理だといわれてもわからないだろう内容だったし、ウエイトレスの民族衣装はチロリアンみたいだった。単純なエスニックストラクチャ−で対応できる地域ではないのだが、とはいえ全くイメージ上で繋がりのないスラブとラテンがこうあっさりと繋がるとは。もちろん地域だけでなくそこにジプシーという民族形態が加わるのだから更にワンダーなわけで、自分の見識の狭さを改めて教えられる気分になる。会場で売っていた映画パンフ兼ツアーパンフ(500円)にも簡単なジプシー解説が載っている。
 ごく個人的な好みでいうと、観劇にでも来たような立派で清潔なコンサートホールよりも、キャバレーやジャズクラブや野外で聴くのがやはり気分であって、ゆったりしたニ階席から見下ろすのは何にしろ違和感。最後には一階席は総立ちで、ステージに上がって踊る客もいたけど時間切れで中座。出際にきくとアンコールで20分はやる、って前情報では「18時からですからねぇ、20時には終わります」っていうから後ろの用事をセットしたのに! 多分一番盛り上がるんだろう長いアンコールの始る前に会場をあとにした。

*1:ようやく少々わかったところとして、モルドバという名前は3つある。一つはルーマニアモルドバ地方という一地域(彼らはここ出身)、国境を跨いで黒海沿岸のモルドバ共和国(リンク:外務省)、それからカスピ海の北方にありますモルドビア共和国(リンク:Wikipedia)。いずれも現地の読みでは「モルドバ」。何がややこしいて、ルーマニアの脇にあるモルドバ共和国旧ソ連から91年に独立した共和国。そしてモルドヴィア共和国は現ロシア連邦下の共和国。そして前者のモルドバ共和国は独立と同時に沿ドニエストル問題といって、ドニエストル川周辺のロシア移民の起こした紛争でロシア軍が鎮圧後駐留中。モルドヴィア共和国は沿ヴォルガ連邦管区であり、うろ覚えで当たると微妙にややこしくなる感じの単語も含有(笑)。日本での資料もmoldova(黒海沿岸)とmordovia(ロシア)が混同しているものがおおいご様子です。