書店

 ABC倒産の反響についての反応がぼちぼちでていますが、まあ人によって温度差は当然ながらある。というか単に感傷的に(上記自分の記述含む)なくなったーと嘆くものもあり、それみて引いてるひとあり。書店やら出版の文脈に縁が深い人かどうかとかデザインアート系かとかサブカル好き好き大好き超愛してるとか、コジャレっこかとかで色々と反応の仕方があると思います。私は人文系図書を集中的に買うor借りるようになってから半年くらいの人なんですけど(どうせ読む暇がなかった数年間)、それ以前のデザイン、写真、アート、洋雑誌に主に用があった時代にくらべたら随分行かなくなったもので。しかも、91,2年ごろくらいまでの(まあ年齢のせいもあれど)「輝かしい場所」というイメージが薄れて久しかった六本木ABCなど、もう後退戦の苦しそうな姿が痛々しく確かな用件のある時にしか足をのばさなくなっていたのも事実。
 各店でかなり印象や用途も違い、自身にかかわりのあったもので言うとまずは六本木店がWAVEや映画館やその周辺の幾つかのクラブ、バーなどのスポットとあわさり周辺の当時のカルチャーシーンとともに成長していった黄金時代がある。当時だとスタジオボイスの編集部とか幾つかの撮影スタジオ、フォトエージェンシー、テレビやアパレルが元気だったんじゃないかな、80年代。洋雑誌が早かったし、写真集や映画関連をひと待ちの間や遊んだ帰りに立ち寄って手にしたもので(私自身は90年以降ですが)。それと青山店のカルチャーセンター併設で面積の広い開放的な立地。デザイン関係とカルチャー系のインディー雑誌、ビジュアル本の揃えの良い大型書店の印象が強かった。新宿ルミネは正直、けっこう最近になるまで使っていなかったのだけど、文字が多いなと。場所のせいだろうな−とは思っていた。だってデザインやらアート関係の客少ないだろうし。まあだから逆にここしばらくのほうが使っていたのだけど。
 けっこう内容、うすかったじゃんという指摘はごもっとも。特にここ数年は客層の変化も相まってそうなっていたでしょう。専門書店(サイト)は増えたし、それらに対抗できる棚やフェアをやれる店員は減っていったでしょう。ただABCの役割はそういう形でなくても果たせていたのではないかと思う。六本木店の棚に魅力が無くなったとかぼやきながらもデザイン誌と写真集と文芸書を同時にチェックしたい私などは打ち合わせの帰りの深夜に、六本木店の入り口から海外誌と国内誌をざっくりみて半二階にあがって人文系の平積みを眺めてタイトルチェックし、そこから踵を返し二階に昇り映画音楽誌、それから写真集の背表紙を眺めてから収穫があればレジに向う。おおよそこのルートのパトロール習慣はあった。動物占いの本が並んでいる店内に先端的なモード誌も並んでいるような状況が私は健全だと思うのだけど。専門書店ってつまんないんだもんな、初回は面白いんだけど、そういう興味じゃないので。