ジャック・デリダ死去

 金沢からの帰り、空港に向う途中に新しい携帯にi-modeリストを登録し直していて行き着いたi-critiqueのバックナンバー、そのなかから鵜飼氏の『弔鐘』翻訳についての記事を読んだ。その為にちょうど昨夜なんの気なく『批評空間』(第三期一号)を後ろからめくったところだった。
 一年前の十月に父と行った宮古島になぜだか携えていき、父が海に潜っているあいだに砂浜に停めた車の中で寝っ転がって読んでいたのだけど、この著作についての前知識もなく唐突に読んだものでなぜあんな構成になっているのかわからず、ただpere doux(優しい父)という言葉が目に止まったくらいで一年の間、読み返す事はしなかった。
 羽田への戻りの飛行機の中では、ウクライナの作家による、新聞の死亡記事専門作家となってしまった売れない小説家について(ちなみに、この話の中でその死亡記事は「十字架」と呼ばれる)の小説を読んでいた。*1なんとなく生活に弔いのトーンが染みこんでいたところへのニュースだったため、妙な既視感。*2

毎日新聞ジャック・デリダさん74歳=フランスの哲学者
朝日新聞仏哲学者のジャック・デリダさん死去
ル・モンド紙:Le philosophe Jacques Derrida est mort

デリダの多分最後のインタビュー(8/18付、ル・モンド)を翻訳した方のホームページ:
蕩尽伝説「来たるべきヨーロッパ」 (五回に渡って和訳)
原文:Jacques Derrida : "Je suis en guerre contre moi-meme"

*1:ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)アンドレイ・クルコフ

*2:そのためか羽田から青山先輩に送ったメールの返信が宛先に届かなかったりもしたという罠が。