マイライフ・アズ・ポエマー略伝

pesce2004-12-05

 そのウンハイムリッヒちゅうか過去からの風の中に含有されるものは、フィルタリング以前はどうしても環境にあるものがそのまま入ってくるという話だったわけですが、遅ればせながらも14歳当時、やはりそこから逃げ出そうと自身なりの選択を開始するわけです。
 それまでは親が買ってきた『小さな恋の物語』(みつはしちかこ)と『ポーの一族』(以下小学館プチコミック萩尾望都全集全て)、『カムイ伝』などを文字を読むようになった5歳から10歳、かろうじてドラえもん手塚治虫。耳から入るのは70年代中島みゆきさだまさし、という環境。その他は、えーと労働賛歌系の歌がしばしば(小学校一年生のある日、何か歌を一曲覚えてきて歌うという自由課題があり、何の疑問もなくうちでかかっていたある歌を歌い終えたら先生がとても複雑な表情をしていました。そして「それは選挙の応援歌だから・・・その人は落選したし、ね」と言われたのですが当時何がいけないのかはわかりませんでした。落選したからいけないのか、とか思ってたような・笑)。そんな入力系から逃れるように、10代に入りまずは自宅の本棚から、学校の図書館へ逃れようと画策。文学方面はともかく母方の家系の人にはかなわないということで哲学全集を読みに入ったのですが、ある日ハイデガーニーチェを借りて帰ってきたらに叱られたので翌日返却し、そこから叱られもバカにもされない彼らの判断できない方面に逃れようとロック基盤のコンテンポラリーな音楽へ本腰を入れたという、えーとよく考えると方向・動機ともに誰もが通る道のそれも超王道に誘い込まれていったわけですね。
 ということで14歳から18歳まではレコードの音楽にはまりロックからニューウェーブまで、テキスト方面はこっそり自宅の本棚から適度に有名所を押さえて(親戚に)バカにされない程度にごまかしておく日々。この辺が一旦切れたのが1992年の末に遊びにいってた先のクラブでプロディジーがチャートに登場した頃だったと思う。これが受験期だったことが人生のレールを外させたと思ってます*1(笑)本気で破壊力があった瞬間のテクノシーン、つまりもう一回書くなら「これが世界を変えるかもしれない」とか本気で思ってしまうムーブメントの麻薬をもろに浴びてしまって、それは1994年の5月まで続いて消えたわけで。大学入学一ヶ月後で。ここからモンドとかノイエドイチェヴェレとかに向って、なにかようやく大きな物語の夢から醒める感じであとは淡々と体系的に情熱なくレコードと雑誌とバイクを追う日々を開始する、その夢の果ての頃までが現在の自身の文章や言葉のリズムの糟床であるんだな、と、いま書きながら思った次第です。
 で、こうやって時系列で書いていくと無意識のうちに排除される香ばしい漬け物が、前日やid:ykuriharaさんのところに書いたように雑誌『マイ・バースディ』とか銀色夏生読んでいた14歳から15歳頭の頃書いていたポエムであるわけで。入力系統の混乱期であったからこそ、ポエムと言う独特なアウトプットがあり、もちろんそれらはその瞬間までの過去の入力の集積であると同時に未消化の現在進行形の入力の磁力を帯びており大変なことになってるうえに、もう天よ助けてといわんばかりに占いとおまじないのその雑誌を読みあさっていた少女地獄だったわけですね。だから、私はかなり律儀な人間だと思うのだけどその呼び掛けに答えなければいけないと言う重圧から逃れられなくて、せっかく失くしたノートブックのページの文字をくっきりと思い出してしまっていることに気付かぬふりができないわけです。

落ち葉と落ち葉が 重なって積もる
偶然と言う名の必然に
君となれたらいいのにな
Oct,3 1988 at 2-C教室の隅で

入力の集積でもなんでも無く、これは直球で銀色夏生だな。
あと個人的には卒倒したくなるけど、客観的に別に破壊力はないポエムだと思えます。この2年C組の片隅で隣の席だった男の子を片思いしていたんだけど、これはのちに宗教上の理由が引き金となり断絶される(苦笑)。あと『ホントは触れてほしいのに、どうしてチクリ。バラの花。素敵な笑顔は誰のもの?』というものもありました。575で韻を踏むのは『ポーの一族』の最初の方に出てくる「さようなら バラの咲く村 ポーの村」という別れのシーンのト書きの影響が窺われてます。
 てかね、この時間に、なぜ延々と身を削るネタを書き綴っているかというと酔っぱらってる上に外の風音がマジ怖いんですうち揺れてるし! ぎゃああ!
と、そんな事を書いている時に頭に浮かぶフレーズは ♪悪い夢を観て泣くなんて/いい歳をしてするものじゃぁない(中島みゆき『あほう鳥』)という20年後の私なのですが
 二日酔いっぽくなってきたのでもう寝ます。風が止んだな。

*1:ハシゴを外したのは別のきっかけですが