追記:地震のあとで

 1/17 5:46AM
 偶然にも時計をみたら、あれから10年。私の生まれた土地は大阪の西の外れ、池田という街であり、酷い被害はなかったものの東隣の豊中市ですら犠牲者がでた。あの日、祖母の家に連絡を入れようと午前中は気が気ではなく、当時拾ってきた小さなテレビ(普段は全くテレビをみていなかった)を窓際に置き、アンテナを振り回して映像を確保しながら情報を集めた。あの冬は色々なものが近く感じて(その二ヶ月後には新宿がサリンで襲われると言う噂が立って、新宿と渋谷の間の街に住む私たちはなにか終末気分でさえあった)私にとってはあれが最後の「時代」の感覚でもある。ある部分で時計が止まっている、不思議な記憶に触れた気分。遠景も近景も、吸い込んだスロウグラスは其処此処に割れ散らばる。