妖精の国

pesce2007-09-01

編集者の仕事をしていると、比較的よく出会うのが各種妖精さんである。比較的多発しがちなのは、もちろんテキストを書いてくれる妖精さん。ライターさんなのかな? と思っていると妖精さんで唐突に消えてしまったりする。突然、半日で魔法がかったようなテキストを送ってきてくれることもあれば、内容がグダグダすぎてリライトレベルじゃないから書き直してもらおうと恐る恐る連絡してみようとすると姿を現す時間がもう過ぎたのか、もう電話も出ない。
「本当に、いたのかな?」
などと呟きながら書き直していると、突然現れて「魔法の国で大変なことが起きて(主にりんごのトラブルや通信手段のトラブル、または自身の呪文を邪魔する悪者が!)」というようなことを早口で喋るので、ああなんとかリライトしてますから残りの文を早めにお願いしますね、なんて流しておくことが多い。今朝方は、レイアウトの出が遅かったので、先に文字数や写真を先方に送っておいて、ともかく土曜朝に照準合わせてがんばりましょう。という連絡ではっきりとした返事がないのを多少気がかりなまま、自分が書く部分を仕上げ他のライターさん(こちらは妖精にあらず)からのパーツががっちり届いたのを組合せ、残りのパーツを待つだけとなり、ああパトラッシュ……と明るくなる頃に意識を失い、根性で目覚ましもなく8時半に目覚めて原稿が届いていないのを確認し、メールを送り「本当は朝6時なんだけど、直接印刷所に持ち込むから最悪でも9時に願います!」と爽やかに。が、九時を過ぎてもなしのつぶて、九時半に電話をして見るが呼び出し音のメロディが妖精度を高めるオルゴール音、何度聴いたか。
そして、午後二時に現れた妖精さんは「今朝は早くから撮影の国に誘拐されていて」と、いうか魔法でメールひとつ、テキストのかけらひとつでいいから送っておいてくれよ。どんなグダグダのテキストでも欠片があれば考古学者のように骨組みから全体像を描き出して見せるから。
写真の妖精さんは比較的少ないが、作品提出前にいきなり遠い土地に飛んでしまったりしてどうしようもない(こちらで撮りなおせないので)ことがしばしば。「やー、いま、上海なんですよ。水曜には戻るけど」ってわかってるならアタリだけでも先に! という、まあ妖精さんであると判定をした場合は日本語(や人間界の常識)は基本的にあまり通用しないものとして物事を進めなくてはいけない。

ということで、今日仕事二回目で妖精反応を見たことを心に刻み付けるためにメモ日記。