Noir

pesce2007-09-14

昨年のテーマはフェティッシュ、だったピエールエルメが、なんか偉い賞をとって、更にアート化して食物から遠く離れつつもニューオータニの発表会に戻ってきた。今年は"Entre"とのことで、たまたま弊誌で早出ししておりもう見てはいたけど、やはりどーも食指が伸びないトリュフ入りブラックマカロン*1。まあ酒のつまみには合います。しかし、ほかも草間弥生を髣髴とさせるノエル・ド・ブッシュやらマークニューソン的質感のヴァレンタインケーキやシルバーマカロン、など。どうなのか。
どちらにせよ、甘味発表会は出席しても広報さんやPR会社さんへの顔見せの意味合いが強く、しかもほとんどの場合、完食はできぬので申し訳ない気持ちになる。ので最初からあまり皿に取らず、グラス片手にうろうろ挨拶回りをして、話ができる程度につまんでおくだけになる。飲食担当だった頃はさらにひどく、重なるときには一晩で数箇所のオープニングでコースで食事、などしており半年かけて完全に胃を壊した。寝て起きると背中が痛いという日々。
お土産で色々もらうがたいていは編集部のみなさまに〜、と人知れず配布して帰る。消えものならまだましで、アパレルなどだとブランド名入りのキーホルダーとか最高に使えないものをくれることがよくあり泣きそうになる。それなりのブランドさんでもそうなのだけど、これ誰が欲しがるのか、と思っていたらバイトちゃんやアシスタントさんが意外と喜んでもらってくれたりして驚くときもある。稀に大盤振る舞いでえらくいいものを貰うこともあるけど、どうもタダより高いものはない、という気持ちが働くので。
またこの業界、気を抜いていると「よろしければ是非使ってみてください〜」「お似合いですから、プレゼントします!」などと唐突にけっこうなものを渡されそうになるけれど、受け取ったあとに「いかがでしょう? お気に召しました?」「きっと読者の方のニーズにも近いと思って……」などと絡まってくるのを「ちょっとページの関係で今回は。」などと撥ね退ける自信がなく、他の部員にふるとか「ああー、ぜひ今度、ショップのほうで! ボーナス入った頃に残ってるといいな!」と全力逃げに入るよう脊髄反応ができています。

パーティにしても何にしても、プレス何ぞで入ってくるより、優良顧客としてご招待される身分が一番いいのはいうまでもない。どんな丁寧に扱ってもらっているようでも所詮はブンヤ、みたいなもんなので。そこ勘違いすると終わりやね、と思うような態度の同業者をしばしば、見かけますが。まあ日本のマスコミは勘違いしやすい土壌もあるしな、ドメの航空会社CAの態度にも似た、ドメの企業広報らの対応。海外でイベント取材していると多少の特権はあれど扱いの適当さには、逆に安心する。

*1:真偽はさておき、黒い食物は高額であるという理由のひとつに黒は死を連想させる色である、と言うのを聞いたことがある。金を払っても毒を嗜好するという例は多々あれど確かに。