てるぼうず

pesce2007-09-20

軽井沢に連続で来ている、とはいえ仕事で。ミラノ以来、親しくしていただいてる某S社の創業者次男さんが、電話かけるとかなりの率で「いま軽井沢」と言うので(最初に会った展示会場でも、額縁型のスピーカーを指して「僕だったら、軽井沢の別荘のベランダに置いて額縁の中に浅間山を見ながら音楽を聴くね」と言っていた。「額縁ショーですね!」という返しは間違いだったですかね)、そんなに良いか? という興味と取材先が祖父の会社の系列ホテルがリニューアルしたというもので、馴染みもあり多少応援気分で企画を立てて取材に来た。最近、都内や東京から1〜2時間圏内で増えてる感じの金曜夜チェックイン日曜昼チェックアウト、の1.5泊プラン。金曜に仕事を終えてそのまま向かい、土曜日は朝から丸一日ゆっくり過ごす、というもので、別に新しくはないけどパッケージにしてプランとして差し出されると、なるほど、とそこで気付く人も多いのだろう。軽井沢の他、箱根ハイアットリージェンシーも最近パブを打っている。
確かに東京駅から一時間弱で到着し、駅前まで迎えに来てもらえると煩わしさはないし、駅に降りたとたんの空気の違いや木々の香りにハッとするものはある。癒しよりはエナジーチャージ系(アロママッサージより酸素カプセル。出版アスリート派)が好きな自分ではあるけれど、だからこそ、これがもし大切な人がゆっくりと自分との時間を純粋に楽しむためにと選んだ場所なら目に眩しい緑も澄み渡る空も、大切な「旅」になるだろう(と言う視点で記事を作るんですが。まあそう思う)。私自身は都内のホテルも好きなものが幾つかあるし、距離を持って旅とは言わないのは再三書いているけれど、物理的に都心での生活から切り離された感じが移動時間の短さの割に強くある。なんていうか24hours,7-days OPENという生活をしていると、なかなかすっきり残業感が取れないので。まだ残ってるなぁ、と、実際残ってますが。手が空くと企画書を書き始めるし。
以前にそういえば上高地帝国ホテルに行き、山岳・高原リゾートの独特な品格とでもいうかビーチリゾートと対極ではなく位相が違う「手の込んだ」野趣の楽しみ方というものがあるのね、と思った。小さい頃によく夏に八ヶ岳に連れて行かれたり、伯母の別荘だったか、山に行くのは子どもの私にとって一種の家族サービス、儀式のようで気が重かった(まあ行けばそれなりにはしゃいで楽しんでいたのじゃないかと思うけれど記憶がない)ものだけれど、あれもある種のふるまい方などの教育的側面があったのか、などと思った。撮影中、自然と「からまつの林を出でて、からまつの林に入りぬ」と口をついて出て、多分母かな。と思う。視覚記憶の欠落(隠蔽記憶的にある年齢前後の記憶は音や言葉だけであったりする)の中で声色からそう思う。来たことがやはりあるのか。
からまつはさびしかりけり、旅ゆくはさびしかりけり。