3F The Lobby

pesce2008-02-04

ロビースト。や、言ってみたかっただけ(これでまた検索者さんに申し訳ないキーワードが増える)。2月1日オープン、日本最大のメンズファッション館。阪急沿線生まれ育ちとしてはこの日程で在阪してたら、いっとかな、という。まあ、伊勢丹メンズ館的なもんやけど後発でしかも大阪という土地をどう生かすんか、ここ数年のゴタゴタで小林一三の血は絶えていないか阪急、など様々な想いで(大袈裟です)。といいますか実際は、3階にはトランジットジェネラルオフィス(よっ中村屋!)とバッハ幅くんがコラボったThe Lobbyができてるというのでホテルから徒歩5分、阪急ナビオ館まで行ってみたわけです。正直、キタに東京的カルチャーを持ち込むと言うと2006年堂島ホテル的悪寒(失礼)もあって。大阪に珍しく雪が降った寒い日でしたから。
プレスプレビューは31日にあって1日金曜日にオープン、なんと1000人待ちだったと言う。その土日のため、とりあえずはやはり物見遊山な見物客も多いけれど、ハイファッション大好きっ子な男子、それ系女子に連れられてきているっぽい男子、ヴァレンタイン前のためか女子だけできてメンズのグッズを物色しているグループ、阪急は河原町線が地上走ってる頃から知ってるで、くらいのおっさんおばさんがいい感じに混ざっている。時間もなかったのでエスカレーターで上まであがっておりて、上下左右対向ループなどの客層、店構えをざっくり見て、あとは問題のThe Lobbyに少々滞在。The Lobbyはフロアのど真ん中にけっこう唐突に半分オープンの囲いだけのスペースがあり、そこにソファや椅子が完全に『ロビー』っぽく設えてある。カフェの構えではない、テーブルもメニューも一見それらしく置いてはいない。


椅子やソファの間に本や盆栽や小物、商品*1があり、壁側には本棚が一面ある。そのひとつひとつに『トリセツ』的な解説文がつけてある。幅君お得意の本棚編集の栞のような機能か。
トランジットっぽい、というかきれい目濃い目の男子スタッフと百貨店スタッフが一発で見分けが付くわけだが(笑)、そんな愛想もないゴス顔店員にも負けずソファに居座るは洋雑誌を引っ張り出してきているオシャレ大阪人女性30代後半独身(妄想)、もうど真ん中で足組んでページはほとんど進んでいないけど二周してきてまだいた。あとは若いカップルが気安そうな百貨店スタッフにメニュー出してもらっているかと思うと、おさーん、と、おばーん、が、座りごこちええなぁ、と周囲から見られるのを楽しむ大阪人気質でうれしそうに並んだ椅子にはまってる。本棚の前にはけっこう人だかりで、片っ端から手にとっている若い子達がいる。別にオーダーをしなくても通り過ぎてもいい、座って休憩や買い物のアイデアを補給しても良い(そういうカテゴリで本棚も組まれている)。
スタッフと少し話して、中央にあるお得意様サロン(元々ここのリニューアルに関わるだけの予定だったらしい)を覗かせてもらう。音楽ホールの面影を残して吹き抜けにしたスペースは実際の床面積よりずっと開放感があるし落ち着く、少しだけパイプオルガンの先が見える。本棚は写真集や画集など大型本が中心に見えたけれど、古くからのお得意さんのような初老のオジサマが少し興奮しながら何度も出入りして「ええなぁ、ようなったなぁ」と言っていたので昔の客が云々的なところはそれほど心配しないでいいかもしれない。珍しげに本を手にとって読み込んでいる夫婦などをみかける。
ともかく情報量の多いフロアに仕上がっている、好奇心の強い(少なくともニュースポットにわざわざ来る層は)客たちは、あちこちで足をとめケースを覗き解説文を読み本を手に取り、取り入れた情報で変化した目で新たにまた周囲を見渡すという動線で回っている。店舗的にも滞在時間とミニマムには商品、最終的には店舗へのロイヤルティ獲得が仕組みとしてあるので、なるほど百貨店がこれを取り入れたわけだ。と。
単純に日本最大売り場面積、300ブランドの紳士もの専門館という力技では続かないわけで。なんだかんだ薀蓄が好きなのは東京より関西か、それに見栄張り派手好きも加わって? 雑誌レオンの掲載商品購買層は大阪が実は中心だったりするし。

ま、とはいえドルガバ、アルマーニ辺りが大混雑でジルサンダーはすっきり空間(笑)とかいうブランドの嗜好は予想を裏切らないでくれていてすばらしい。出てきて横断歩道を渡るともう串カツスタンドとかある食堂街なんかがあるのもいい立地です。大阪で生まれた女やさかい、ええとまあ安心。

*1:なにげにgallery deux poissonsの山田君がセレクトをやっているらしい。久々に名前を聞いたのでびっくりした。実際、その面影のあるテクスチャーやフォルムのいちいち美しい小品が多い。可愛らしいおもちゃなどもあるけど