ピアノとヴァイキング

pesce2008-04-26

昨日のピットインでのライブにも呼ばれていたことを思い出したのは日付も変わってから。それはもう仕方がないので、翌日のBody & Soulでのスカンジナビアンコネクション(最終日)に出かける。Body & Soulは青山なのか渋谷なのか非常に微妙な立地(あの付近は246を挟んで渋谷区と港区の飛び地が入り組んでいる)で、比較的客単価の高いジャズバー。大学時代にジャズ好きを自称する男の子に誘われて足を運んだ際、非常に80'sマナーというか、勉強不足をフォローする必死のかっこつけの男子で、支払いのときに「今日は誘ったから僕が」と涼しい顔でレジに立った彼が一万円札を出しかかりつつ値段を告げられ、硬直した表情でカード使えますかと聞いていたのを見ないふりをした。もう一軒行きたいバーがあるんだとか言っていたけれど、用事を思い出したとか言って帰っていった。あの頃はコンビニATMもそんな普及していなかったしね、別に私は割り勘のつもりだったのだけれど。と思いつつ、当時そこから徒歩で数分の自宅に戻り一人でバー青山で一杯飲んだ、地元民。そんなことを思い出す店。
アンダーシュのピアノは繊細で切れがある、本人と同じで少しのユーモアとスマートな大胆さ。
一人でカウンター席に座りグラスを傾けながら眺めていると
サキソフォンの人と目が合う。知っている人かな、と言うくらいの親しさで笑顔を返されて
しばらく考えるが多分違うなー。でも、技術はすごいな、見た目は若そうだけれど随分。
久々にスタンダードの斬新過ぎず、ちょうどよく心地いい解釈のジャズを聴いた感じ。
1stステージが終わり昨夜のお詫びもこめて楽屋を覗くと、サキソフォン氏が笑顔を見せる、
が、アンダーシュが立ち上がったのでちょい不機嫌目に席を立って飲みに出て行かれる(笑)。
昨日はごめんよ、と言うことと今日の演奏はマニフィック! 素晴らしい! などと話す。やっぱりミュージシャンは
演奏している姿が一番かっこいい、当然だけど。スポーツ選手だってフォトグラファーだって編集者だって
仕事をしているときの姿が一番わかりやすくかっこよいものだけれどね。
音楽やスポーツは特にわかりやすくそうだと思う。
一応断りを入れ、中抜けして外苑前サインの六周年イベントに顔を出す。
スターフライヤーと某E誌とのコラボ真っ最中でもある。この前日夕方に立ち寄ったら、
窓がスターフライヤー風に黒の小窓のビニールでデコレーションされ、食事も機内食風とか
コラボカプチーノとか、まあ乗って両方オーダーする。が、その日は神宮球場で試合。
ロゴ入りカプチーノ
窓の外には弁当売り♪
残念ながら中村ビルはお父さんの弁当屋さんがドア以外の店の前を全て陣取り、「おにぎりー、ビール! ポテト!」と
全力で客寄せしている。大音量でかかるボンジュールレコードのおしゃれ選曲が
全く聴こえないほどなのが窓際席だ。まあ、これも見慣れた風景。
さてイベントはライブ込みで進行し、広報松波ちゃん、中村社長、ハック安岡さん
などに挨拶してダッシュで店に戻る。2ndステージの終わりの曲に間に合う。
なんとなく打ち上げに立ち寄り先ほどのサキソフォン氏、Johanとも会話をすると
かなりノリのいい青年。こう見えてそれなりにスエディッシュジャズシーンでは重要なアーティストらしい。
端正な顔立ちと基調として抑え目なトーンの喋りが、笑い始めるとヴァイキングらしい
豪快な笑い声でしばらく笑い続ける。彼と一緒になるとアンダーシュも同じ面を見せる。
ちょっと遊びで今は髭を生やしているんだ、ロシアの提督みたいだろ、と胸を張りポーズをつける。
いやあんたは角が付いたヘルメットをかぶるべきだ、などと話しながら朝方まで。
私の時計を見て、異常なまでに気に入っていた。
「この時計はきっと、魔法の声で真実を伝えてくれる」
「それくらいファンタスティックだ、この文字盤に願い事を言うとかなうんだろ」など
むちゃくちゃを言う、彼自身は北欧の誇り、ヤコブセンデザインの時計でしたけど
どう見ても船窓から覗くヴァイキング