清澄白川〜東麻布

pesce2008-05-17

午後から自宅近所のギャラリートムにて、澁澤龍彦堀内誠一さんの書簡展があり、そこを皮切りにぐるりギャラリーを回る。ギャラリートム、は村山知義のご子息が作り、その名を知義さんペンネームのTOMから取ったとのこと。マヴォ! とか驚く。自宅徒歩5分、ちょっと時間を見てまたゆっくり行きたい。展覧会タイトルは『旅の仲間』とあり、巡回で名古屋で昨年行われていたようだった。堀内氏は私の生まれた年にパリに移住しているが、それからもそれ以前も随分と旅をし、エアログラムで親密だった澁澤氏に手紙をよく書いていた、描いていたというべきか。
オリーブ筆頭に独自の世界を展開していた堀内さんはマガハじゃなくても
絵柄やロゴを見たことがない出版人はまずいない、はず(と思いたい)。
その絵と、文字と言うより絵、の、文章が水色の薄い紙の上に広がっている。
時におおらかに、時に米粒写経並に(笑)細かに。澁澤氏は比較的淡々とした筆致の白地にペン書き。
『空飛ぶ絨毯』や幾つかの出版物の中に出てくる情景もある。
私も旅先から手紙を書くのが好きだけれども、エアログラムは
祖母が昔、送ってくれた手紙くらいしか記憶にない。色鉛筆を持って旅にでよう。

右がポンピドゥができたことを書いている堀内氏、左は澁澤氏の筆
二人の旅先写真も幾つか。
渋谷まで歩き半蔵門線で清澄白川。前に来たときは場所がわからずタクシーだったので初徒歩参上。
とりあえず、お目当ての直哉氏"Ciel Tombe"シリーズを観る。

天が落ちるかもしれないと信じられた時代、そして石材切り出しのために掘られた地下洞穴の
天蓋の陥落の呼称シェル・トンベ。古代遺跡のように崇高にも、
ただインダストリアルな光景にも、しかしあえて一灯のライトを映しこむことで現実との繋ぎ留めを、感じることができる。
過去の作品ではライムワークスから連なるシリーズ(石灰鉱山から街への循環)のひとつのシステムを
作り上げ見つけ出した思考の動線の鮮やかな速度と強度。また違った形での何かの始まりになるといいと思った。
しかし彼は文章、コンセプト、題材、技術が見事なまでに拮抗し
ものすごい密度を持って観衆の前に現れる。彼自身による解説が評論としてどうと言うのではなく
作品に寄り添い、よりその速度をあげ密度を上げているのは確かだ。
本人による手書きの企画書? の絵柄はなかなか味がありコピーをいただく。
フクヘン。ブログに拡大もあり。ここだと拡大とかできないんで参照させていただきます……)
タカイシイの入り口でも会った小山さんの小山登美夫ギャラリーで川島秀明wavering展オープニング。
下北沢のモナレコードで一年半くらい前に出会って以来、mixiでのみ時々接触があったけれど
退会されてからは久々に。もうすぐ39歳と思えない清々しい悩み顔のお坊さんは
苦しみながら作品を生み出した、と告白するが、
表情も艶かしくなった空想の女性の顔たちは透明度を増したようにも感じられたけれど。
比叡山に登るや登らざるや。
初めて雑誌の女性モデルなども観察したとか。
お客さんの子どもがっ。悩殺。
他、ちらりとしか立ち寄れなかったけれど県芸で一緒らしい櫃田珠美さんのGarden展、
作品は初見だけれどデジタルフォトでスーパーリアルな絵を作り出している。
アクリル板を貼り合わせてあるが、中には2m近い巨大なものがあり厚手のアクリルを通して
透明感が更に増している。秋になったら大学でご挨拶してこよう。
その後、東麻布のTAKE NINAGAWAにて大竹伸朗さんの貼(Shell&Occupy)展オープニングを覗く。
夏まで続く5連続展覧会の第一弾だと言うことで、
ベッドルーム程度の空間にコラージュ作品と蛍光色の額が強烈な存在感。
中央に非売品の巨大な本へのコラージュ作品、物理的に厚みがありすぎる、
コラージュの精緻な作業と大胆な貼り合わせの奥行き。
作品に対するアイデアや技術のほか、コラージュ素材の「集まり」も
作家の力量なんだろう、どこからこんなのが来たのだというようなものが
わさわさざわざわ誌面を埋め尽くしている。



とことこ歩いてヴィーノヒラタで軽い食事。ハトのローストがよし。