清澄白河

pesce2008-06-28

夕刻ごろ辿り着いたら、MAGIC ROOMの最後のインスタレーションが終了したところだったらしく岡田先生が入り口のMAGIC ROOMをペンキで塗りつぶしているところだった。もう少し早くくればよかったなぁ。しかし、NADDIF A/P/A/R/T ももうすぐオープンだし*1。次々と場所を変えて形を変えては息を吹き返すのです。同時代である物事は、それを追うことのできる楽しさでもあります。古典は古典で、時代をかいくぐってきた作品の強さや現在へのつながりの糸を追う楽しさがあるけれど、同時代に生きているアーティストと同じ空間や空気を吸い感受を全開にして立ち向かえるから、コンテンポラリーの方が惹かれる。もちろんそのベースになっている過去の作品を経験しているほうが受け取れる情報量も格段に大きいので、できる限り両方追って行くしかないのだけれど。現場、現地、匂いや光、気候、社会、言語。そこに行かないとわからないものは多い。

さて、そういうわけで、7階小山登美夫ギャラリーからスタート。

ベンジャミン・エドワーズの "Democracity"はCGで製作された3Dの下絵を
カンバスに投射して、それを元にマスキングでアクリル絵の具が塗り始められる。
砂やラバーを削って混ぜ込んだマテリアルの違いが、実際の街のような
匂いのする架空の都市が描かれる。それぞれの絵のタイトルは
コルビジュエや過去の万国博のような場所から取っているらしい。
過去から現代の絵を透過して映し出されるユートピアとでもいうか。
製作過程の動画

なかなか面白い。
6階のほうでは風能奈々、渡辺 豊展。
渡辺さんは確か少し前に会社の通りにあるギャラリーでも個展をやっていたと思う。
風能奈々さんの作品は、遠くから見ると陶器のようで、
リスボンアズレージョなんかを思い出す。こちらもマスキング系の作品が多い。
小さなカンバスに細かに植物のパターンが重なる、大き目のカンバスには
大きなレース編みの白い線が描かれている。
20センチくらいの小さなのがあって、それは欲しかった(値段的にも…手が届くかな?)。

そしてSHUGOARTSではイルヴァ・オーグランド、道しるべの女眠りにつく。

一見同じような灰色(銀色)のミラーが書かれたような絵の上に、
ひとつずつ原石の水晶が乗っかっている(Oracle=お告げ、と言うタイトル)。

奥の個室でミラーとキャンドルを使ったインスタレーションによる
「セルフポートレイト」なるものがある。まあ詳細は、あれなんですけど
このとき売ってたブックにぱらぱらマンガみたいに46工程の「セルフポートレイト」が描かれている。
人をくったように笑うアーティスト本人、私と同じ年齢だったらしい。

個室で、ご一緒したフクヘン鈴木さんと佐谷周吾さんが、
先ごろお亡くなりになった佐谷画廊の佐谷和彦氏について、
ろうそくの灯りの中で話をする。
私自身は残念ながらその歴史に触れることができなかったのだけれど、
訃報の流れた際の各人の反応で影響は窺い知れた。
佐谷さんは本が作りたかったんじゃないか(カタログの作りの凝り方と数)と言う話など、
興味深く聞く。
のち、タカイシイギャラリーで村瀬恭子さんの作品を見る。
高校生の頃観た『冬の旅』というフランス映画を思い出す。

終わって銀座のジャッジョーロでごはん。
ここはサンタマリア・ノヴェッラを扱うヤマノのプロデュースで、
もちろんそのハーブやリキュールを使ったフィレンツェ料理がいい。
メニューに薬効が全て書いてあるのはご愛嬌、かな。

*1:NADDIF恵比寿の三階にMagical,四階にMAGIC ROOM??がオープンする