ペーター・ツントー後編

pesce2008-07-07

ブルーダークラウス教会からCologneに戻り、徒歩で昨年末建立の聖コロンバ教会博物館・新館 "Kolumba Kunstmuseum"へ向かう。17時まで、って早いよ。自然光を多用するので季節によって開館時間が違う、とのことだったと思うけれど夏場で17時だったら冬はどうするんだ、15時くらいと同じ明るさだと思うけど。
http://www.kolumba.de/

戦災で廃墟となっていたゴシック様式の旧コロンバ教会を博物館として再生するに当たり、
ズントーは古い教会跡に新しく設計した建築をかぶせてしまった。
過去と現在を直接に結ぶその発想もすごいのだけれど、単なるびっくりアイデアものではなく
細部にわたって考え抜かれた構造とデザインが施されている。
まさにこの細部に神が宿る、と思える。
ここでも全体の雰囲気を作り出しているのは各所に使い分けられたマテリアルや光。
博物館部分とは別に、戦後作られた誰でも入ることの出来る小さな教会部分を残してあり、
一階の一部はそこからも覗くことができる。

一階部分、教会跡地は表からは模様のように見える細かな穴のような無数の窓
(セーターの網目が開いたイメージだという)から、柔らかく自然光が差し込み、
ローマ時代からあったというこの教会の歴史の部分を照らし出す。
巡り渡された廊下の上からそれを覗いていく。外にはリチャード・セラの小さな作品がある。
二階へ向かう、階段の壁の質感もいい、などと渡邉くんと話しながら上ると、
ぱっと空間が広がるように、大きく取った窓から差し込む外光の中に17世紀の聖母子像が佇む。
この切り替わりがいい。

中世の宗教作品から現代アートまで、さまざまなものがあちらこちらと
混在するように置かれているが、雑然とはせず、心地よい。
大聖堂の見える大きな開口部は外から見るよりもインパクトがある大きさ。
リラックスできる応接間のような図書室、天井近くに採光の窓を取った部屋、
教会関係の宝飾品などが収まるガラスケースの薄暗い部屋とバリエーションも豊かで
ずいぶん色々な場所を巡った気になる。
Wolfgang Laibの大理石の家と米粒の作品も窓近くで光を受けて
まるでそこにあるためにあるような調和をみせている。
一階の小さな庭でしばらく休んでから出る。渡邉君が外壁の煉瓦積層構造部分や
コンクリや石の材質をひとつひとつ確認するように観察している(職業病)、
この街特有の煉瓦を使って作ったらしい。元の教会がローマ時代の寸法で作られていて、
それに倣って設計されているという資料も読む。
「デザインが本当に細部まで渡ってるんだよ!」と興奮気味に話す渡邉君。
確かに最後に立ち寄った一般向け教会も、外からは模様のような石の格子窓の光が美しい。



大聖堂に立ち寄り、近くのブラウハウスでケルシュビールを飲み、
散々食べ、ホテルに戻って倒れるように寝てしまう。