フクヘン。展オープニング@ラムフロム

pesce2008-07-20

ブログ『フクヘン。』でおなじみ(?)BRUTUS副編集長
鈴木芳雄さんの個展『フクヘン。』展のオープニングと
美術ライター藤原えりみさんとの対談が開かれたので
伺う。というか、実は会場が通勤路というか徒歩5分圏内。
向かいにはいつも使っている富ヶ谷図書館という立地だった
ので、仕込みの日やオープン当日も覗いていた。
しかし社員編集者の現役の人が、自身の仕事を含んだ個展を開く、というのも
非常に珍しいと言うか聞いたことがない。仕事で関わらない限り、書店に並ぶ形になる前のゲラや色校、
編集メモやラフ絵などは目にすることは普通まずないと思う。編集の仕事に興味がある人でなくても
雑誌を買う人やアイデアのイン-アウトプットの過程に興味があれば楽しめると思う。
そして、今回は雑誌のことだけでなく、鈴木芳雄さんという編集者がこの様々な特集や企画を
作り続けてきた、その成分表的とでもいうような様々な彼の興味が展示されている。
鈴木さんの手がける特集のように、観る人も自身も楽しんでいけるように
ヴィジュアルやテーマもきっちり作りこまれた展示に仕上がっていると思う。
(大先輩に僭越な言い方を失礼します)
ロケ地や日常で撮りためた写真は、写真家の森本美絵さんが壁面をいっぱいに使った
インスタレーションを施している。それからガラスケースには旅を感じさせるグッズや貴重な雑誌、
あと実際に購入できる『フクヘン。フルホン』コーナー、アーティストたちからのインビテーションや手紙
(手紙は直接的に旅、そのものだという気がする)、そして旅先のスノードームやエアラインチケットなどなど。
収集というか捨てられない小さなものたちは、それ自体が自分にとってのみ意味深いいつかの経験への
暗号のようなアクセスキーだったりする。だから、自分のための旅の土産は役に立たない
つまらないもののほうがいい、と書いたのは誰だったか。などと思いだす。


トークはえりみさんがメインライターだった『西洋美術を100%楽しむ方法』
(2007年4月1日号)を中心にそれで訪れた土地の話や美術についての話題で
えりみさんの話術というかテンポ良い喋りと鈴木さんの時折こぼれるオヤジギャグも
まあ(笑)、お客さんもリラックスしたいい雰囲気で進行。
終了後、ギャラリー前にて、届けられたたくさんのシャンパンやワインを開けながらオープニングパーティ、
のち、隣の沖縄料理屋にて打ち上げ。えりみさん、鈴木さんに、ギャラリー小柳の小柳さん、杉本博司さん、
武者小路の千宗屋さん、途中から東泉さんなどそうそうたる顔ぶれが泡盛を囲んで盛り上がる。
久々に大人の良い交友関係をみて、20年後にこういう人生を送れるといいなと思う。


そういえば昨日の展覧会オープンにあわせて、妙なアレンジを贈りました。

設置場所は野菜の種袋コレクションの下。
旅と本、にちょっとアート。という無茶に答えてくれたFUGAのスタッフの皆さん、
あと素敵な豆本を見つけてくださったリリパットさん、ありがとう。