Ron Mueck展@金沢21世紀美術館

pesce2008-07-30

金沢は確か四度目で、全て21世紀美術館がらみだと思う。
ロン・ミュエックは三度目で、うち二度はカルティエ財団
@パリと、財団展@都現美なので同じだ。
写真で見る限り、あと話を聞く限りヴェネチアビエンナーレ
アート展でのアルセナーレでの展示『Boy』が見たかった。
などと思うけれどそれはいつかお目にかかりたい。
さて、とりあえず金沢、思い立って突然行ってみた。
唐突なので、前日にチケット購入してバタバタで仕事を片付けて
ともかく行こう、という感じで。
ああ、SANAA建築がまだ無事に建っていてよかったよ。と、数日前に西茶屋の方が
ずいぶんやられたと聞いていた豪雨のあとの金沢の町を香林坊からとことこ
歩いて向かう。いつもこの建物を見るときは空が晴れていて、空の青と丸い建築の
白のコントラストがくっきりとしているイメージばかりだ。

↑ケータイカメラのため余計にコントラストが強い
とりあえずざっと飛び込んで、ロン・ミュエック展に。
本人の顔という"Mask-2"は、初見。"Mask-3"はカルティエ以来。
黒い瞳と睫毛を覗き込んでいると、にこやかな市民ボランティアの監視員さんが
にこやかに寄ってくるので離れる。さわりませんて、写真も撮りませんよ。
今回一般客できてますから、衝動的には撮りたかったけど。。
どーも、足元に線がひいてあるのを踏むと注意に来るらしい。まあこれでも
ガラスケースに入っていないだけ日本の美術館としてはましなのだろうと思うけど。
"Man in a boat"は恍けたような風情が好きな作品で最初の部屋にあった。
オーストラリア出身の彼でもこういった作品は聖書との関連性で解釈されるのだろうかな。
偶像との関係とか。でもそういったものをすり抜ける表現だと思うし、
そうあってほしい。カルティエ財団で製作された"In bed"や今回目玉の"A girl"は
巨大系作品。例えば初期の"Ghost"と題されたスクール水着の巨大な女の子は
少女のある時期に来る、自意識や不安の膨らみとも解釈できるが、
それ以降の作品は、そういった読み込みも撥ね返す方向に強度を増している。


一応全部ググって拾った海外展示画像。今回展示作品。

館内のビデオでは本人が「適切さと不適切さ(サイズやポーズの)」について語って
いたと思ったけれど、あくまで実在のモデルではなく記憶や記録、写し取った断片と
想像で作り出されている作品がほとんどなのはそれでわかる。マケットを作り、そこから
「適切」な大きさやポーズを見出すまで、製作に取り掛からないそう。
つまりどんなに精緻でも実在しない人形だという。手に触れたくなる衝動も起きる
それほどに息をしていそうな、柔らかい皮膚を持ちそうなひとがたの彫刻だけれど。

↑小さなカップル、つい髪に触れたくなる"Spooning Couple"
真ん中のガラス部屋にあった製作過程の皮膚や爪先や眼球のシリコン型やマケットも
これまで実物を見たことがなかったので面白く。この集合体があれであると思うのが
楽しい。製作過程ビデオも別の場所で回っていた、工程がともかく必要最低限で複雑。
デザインギャラリーのほうでは"sensuous food, emotional taste"という
感情のメニュー(予約すれば実際食べられる。遠山正道さんのブログに詳細あり)の
展示をしていたけれど、閉館時間が迫りギャラリーショップでヴェネチアビエンナーレ
時のブックを一冊購入して退却。次に来るとしたら11月の杉本博司さんの時かな。
夕食後、東京から同行したマトイ君が寝落ちしたので、朝にメールを送って
ほぼ無理やり呼び出した(ヒドイ)金沢在住の牛島孝くんと少し飲む。
香林坊からタクシーで5分ほどの思案橋にて落ち合い、一軒家のバー「よふ葉」へ。
昼間ならかわいらしい、やレトロな、で済みそうだけれどここで深夜にワインをいただく、
というのは何か、妙に寓話の世界の不思議なことが起きそうなふわりとした感覚。
夜の博物館とか、魔法じみた雰囲気。牛島君は近所で常連さんのようだ。
自家製のドライフルーツ(これもカッティングや種類が奇妙で美しい)を突きつつ
一時過ぎまで。戻るとマトイくんは起きていて今日のカタログを見ていた。

手土産がなかったからと『フクヘン。』エコバッグをあげた。
明日は、これも急遽決めた富山は黒部市へ午後一時のサンダーバード