B地区の真実
ちょっと前のニュースですが面白かったんで。
■「会見画像に乳首が入る」
伊首相府、背景の絵画を“改作”
(読売新聞 - 08月05日 21:10)
って言う。元記事はアーカイヴされないようなんで
海外記事などから情報拝借(イタリア語)。
記事としては、ベルルスコーニ首相が売春禁止など風紀方面の取り締まりを
強めていく中で、首相官邸(キジ宮殿)の会見場所の壁に飾られた
ジョヴァンニ・ティエポロの絵のビーチク部分が映り込むので大変よろしくない、
として、服を着せてしまった。それもCGで服を作って上から描いてしまったんですが。
ルネッサ〜ンス後期の国民的画家であるティエポロの絵、複製画とはいえそれを
改作するなど、と非難GOGOだそうです。まあそりゃそうだ。
これが元の絵。
で、変更後Daylife.comより引用。わかりにくいか。
ここのブログで、変更点の比較がされてますね。
ルネサンス期といえば暗黒の中世(科学も美術も宗教のためにストップ。
西欧が宗教によって知的鎖国してたとでもいうのか)を抜けて
ようやく美は美、科学や医学の再発見から発展へ、とようやく知の光が差した近世近代への架け橋。
美術的にも裸体の美、宗教的な裏づけとしては原罪以前の無垢な姿であるすっぽんぽんが
受容されてきていた。だからミケランジェロみたいなんが
ダビデ像をどーん、と作ったりしていたんですが。
もちろんこの時代にも、それに対する保守派というか陰部を露出した絵画や
彫刻を教会に置くなどけしからんと騒いで『最後の審判』の絵の上から腰布を
書き足させたひととかいるわけで。それを描かされたミケランジェロの弟子など
「ふんどし絵師」と後世まで呼ばれるかわいそうなことになったと。
(これについては"campagna delle foglie di fico"=イチジクの葉運動、と呼ばれる)
(システィーナ礼拝堂のwikiに記述あり/イタリア語版・英語版。日本語版『最後の審判』に*1詳細)
なんで、素っ裸のローマ時代彫刻や絵画を観光収入源にして生きながらえている
ローマの真ん中で、何をいまさら。何かの宗派からでも言われたのかしら?
だいたい複製画だし、インテリア的に置くだけなら代表的なイタリア人の絵なんか
輸出するほどあるだろうに。先に述べた風紀取締りのためのパフォーマンスとしてやるには
知性のないアホ政治家として見せてしまう、間抜けな手法にふんどし首相の称号を贈りたい。
また絵の名前が"Il tempo scopre la verità "(時が見つけるだろう真実)で、
なおさらいい味出したニュースになっております。