イェッペ・ハイン"Kuru Kuru"@SCAI THE BATHHOUSE
反射、主に鏡面素材を使った作品が空間をねじり、
歪ませ、繋ぎ、交換し、コミュニケーションを喚起する、
というデンマークから来たインスタレーション作家さん。
コペンハーゲンにはジャズフェスティバルの取材で
2004年に行ったきりだけれど、クリスチャニアを引き合いに
出すまでもなく、アーティストたちが生き生きとして
排除される不安のようなものを抱えずに暮らしている
という印象がある。
厚い保障と整備された社会基盤の他にも、私の訪れた季節が
明るい夜の路上の祭であったこともあるのだろうけれど。
それぞれで回転する鏡、一方向で見ているだけで360度を見渡せる
風呂屋がベースのこのギャラリー空間に林立する、また垂れ下がる
鏡の森とうごめく球体。アーティストの解釈では日本の文化で
円形や球体に完成された精神や関係性を見出す点があるのを
取り上げて、そういった作品を選んだという。
昔、イギリスからの客人に「神が鏡であるということが面白い」
(神社で皆が拝むものは自らを映す鏡であること、ということで
クラブ帰り早朝の青山から渋谷をものすごい勢いで語られた)
ことを思い出した。94年の年初だったか、そうか外の国から来た
ひとの言葉に映るもので見える視点もある、君も鏡だね、とか
適当な会話をした記憶がある。
ともかく、鏡越しに目の合う見知らぬ人と少し照れた
目配せや笑顔を送りあったり、そんなコミュニケーションは確かに
発生していたと思う。仕掛けの単純さがまたいい。
ドット柄のデニムは奥さんの作だそう。人懐こい笑顔のイェッペン・ハイン
二次会へのお誘いもあったけれど、お腹が空いていて、会場は
Barだということだったので当初の予定通りにワインを飲みに出る。
が、当初の店は満席で、銀座マルディグラへ。ワインも料理も◎。
そこから移転して初めて伺う赤坂トラウマリス。
以前の鰻の寝床的な洞窟感は(形状的に)ないけれど
雰囲気は相変わらず。また以前のように
色々なアーティストの作品とも落書きともつかない
置き土産が積もっていくのだろうか。
名和晃平さんと市川孝典さんの作品が壁にどかんと。