イェッペ・ハイン"Kuru Kuru"@SCAI THE BATHHOUSE

pesce2009-01-16

反射、主に鏡面素材を使った作品が空間をねじり、
歪ませ、繋ぎ、交換し、コミュニケーションを喚起する、
というデンマークから来たインスタレーション作家さん。
コペンハーゲンにはジャズフェスティバルの取材で
2004年に行ったきりだけれど、クリスチャニアを引き合いに
出すまでもなく、アーティストたちが生き生きとして
排除される不安のようなものを抱えずに暮らしている
という印象がある。
厚い保障と整備された社会基盤の他にも、私の訪れた季節が
明るい夜の路上の祭であったこともあるのだろうけれど。


それぞれで回転する鏡、一方向で見ているだけで360度を見渡せる
風呂屋がベースのこのギャラリー空間に林立する、また垂れ下がる
鏡の森とうごめく球体。アーティストの解釈では日本の文化で
円形や球体に完成された精神や関係性を見出す点があるのを
取り上げて、そういった作品を選んだという。
昔、イギリスからの客人に「神が鏡であるということが面白い」
(神社で皆が拝むものは自らを映す鏡であること、ということで
 クラブ帰り早朝の青山から渋谷をものすごい勢いで語られた)
ことを思い出した。94年の年初だったか、そうか外の国から来た
ひとの言葉に映るもので見える視点もある、君も鏡だね、とか
適当な会話をした記憶がある。

ともかく、鏡越しに目の合う見知らぬ人と少し照れた
目配せや笑顔を送りあったり、そんなコミュニケーションは確かに
発生していたと思う。仕掛けの単純さがまたいい。

ドット柄のデニムは奥さんの作だそう。人懐こい笑顔のイェッペン・ハイン
二次会へのお誘いもあったけれど、お腹が空いていて、会場は
Barだということだったので当初の予定通りにワインを飲みに出る。
が、当初の店は満席で、銀座マルディグラへ。ワインも料理も◎。
そこから移転して初めて伺う赤坂トラウマリス。
以前の鰻の寝床的な洞窟感は(形状的に)ないけれど
雰囲気は相変わらず。また以前のように
色々なアーティストの作品とも落書きともつかない
置き土産が積もっていくのだろうか。


名和晃平さんと市川孝典さんの作品が壁にどかんと。