クラヤミ食堂@赤坂

赤坂に最近移転した、と、一年以上経つのにまだ「最近」感覚が
個人的に抜けない会社さんからお呼ばれしたので、最近
(上記程度に最近感覚)話題のクラヤミ食堂なるものに参加してみた。

元々、DID(ダイアログ・イン・ザ・ダーク)に多少なりとも
ご縁がありこちらは2006年くらいから見ていたのだけれど、
クラヤミはそれに対してどの立ち位置となっていくのか?と言う興味。
発端は昨年末コンラッド東京の大戸氏とDIDを手がける電通
北本氏との会食で話題が出て*1、3月20日から長期の開催が
決まったDIDとの関係性を興味深く見ていた。
エンタメ性を強く押し出して消費されていくものになるか、
かといってコンセプトばかりでは人や大衆メディアは集まらないし。
数年前から耳にするエデュテインメント(edutainment)みたいなことが
字面だけじゃなくちゃんと実現されている例はまだなかなか日本では少ない。
キッザニアとか子ども向けでの成功例はあるかもしれないけれど
大人のほうも、いまはそういうものを必要としてるんでは。
さてイベントの手順的なものは、これまで開催されてきたものはさまざまに
メディアやら個人ブログで紹介されてきたものとそう大きな違いはない。
まず入り口で簡単な注意と聞き取り(アレルギーや嫌いな食べ物有無)
をアンケートで書き、友人らとはここでさよなら、必ず別のテーブルへ配置される。
目隠しマスクをつけ、全く視界を奪われた状態でスタッフ、それも最初見た
スタッフとはまた別のスタッフに廊下でリレーされ、その肩に掴まりながら、
テーブルの間をぐるぐる進む。
テーブルにつくと、先に来ている人から声がかかりひとしきり自己紹介がある。
その日のコンセプト(今回は青春編)を聞き、音楽や効果音の演出の中、手探りで
グラスを手に取り、8人がけのテーブルの皆さんと乾杯、もちろん見えないので
手を伝ったり握手するような格好で。
基本的に飲み物は右手側、料理は前、お箸は手前というルールで食事が始まる。
食材当てや、手探りでテーブル上の即席チームでばらばらに配られた食材を
組み立てたり(この日は米粉のクレープに3種類の具を巻いた生春巻みたいな)
ともかくコミュニケーションを取るように仕掛けをされている。
正直なところ、いまはエンタメ性を前面に押し出しすぎている感じは残念。
別に神妙に高尚にやるほうがえらいとは思わないけれど、せっかくの感覚変容の
それ自体を感じてもらって、コミュニケーションはそのあとに
いやでもついてくるように思う。
いわゆる、視聴覚というのがまず人間の生活やコミュニケーションのために
突出して発達し、普段利用されているものだと思う。で、嗅覚、味覚、触覚
(他にも圧覚とか色々あるけど)は実はいつの間にかそれほど大切にされていない。
なくても表面的なコミュニケーションは可能だから。
しかし豊かさはどちらにあるかというと後者のような気がする。
そこが満足されたときにもっと人はゆとりや豊かさを感じるし、
コミュニケーションの深化も促されると思う。
クラヤミ食堂での料理は工夫されているし面白い仕掛けもあった、けれど
そこに注意を払えない環境と、料理のジャンルになってしまっているのが残念。
合コン気分で来るには楽しいだろうし、実際そういう雰囲気になる場である。
でももう少し可能性を探れないかなと。DIDにそういう部分は渡してしまうのかな。
食という重要なツールを使うのだから、もう少し選択肢と可能性を期待したかった。
終了後、偶然他のテーブルにいらした遠山正道さん、フードクリエイターの
諏訪綾子さんらに会い、同行した友人も一緒にトラウマリスへ。
オーナー住吉智恵さんもクラヤミ食堂経験者だった(偶然!)、まあ近所だしね。
ワインを一杯飲んで小雨の中、帰宅。

*1:クラヤミ食堂コンラッド東京でも開催され、総料理長のフレディが腕を振るった料理で盛況だったそうな。